作品解説 油彩「P夫妻像」

戦後間もない頃の作品。
良質の絵具が入手できたのかどうか、まず気になりますが…P夫人のブラウスも色彩的なものがなかったのかもしれません。
P氏の上着(淡いピンク系)、ネクタイ(赤)、シャツ(淡い灰青)に合う、例えば黄系、紫系のブラウスがあって、それを身に付けていれば全体の感じが相当違った作品になったと思います。
そのような終戦まもなくという時代の制約の中で、色彩の調和を追求した作品と言えます。

作品名P夫妻像
材質油彩
制作年1946
寸法70.0x60.0cm

また2014年5月27日、イタリアはローマ大のパオロ・ピアチェンティーニ教授(Prof. Paolo Piacentini)が来館されました。
当作品のモデルとなった夫妻の長男でもある氏はこれまで数回当館へと足をお運びいただいておりますが、このP夫妻像を観るのは初めて。幼い頃に母を病気で亡くしたため、記憶にある痩せた母の姿と絵に描かれた健在だった頃の母との違いに感慨深げに作品を観ておられました。

当作品、そしてパオロ氏が4歳の時にモデルとなった「パオロ君(1952年制作)」は現在、硲伊之助美術館にて展示中です。
みなさま是非お越しください。