『硲伊之助文集』刊行のお知らせ

硲伊之助美術館から、硲伊之助の文集を刊行することになりました。
硲伊之助(1895~1977)は制作の傍ら、新聞や雑誌に寄稿した文集、対談、書簡などが含まれます。彼の没後47年を経て、彼が残した作品をまとめることが実現しました。
硲伊之助美術館や硲伊之助について何度か紹介してきましたが、改めて彼に触れましょう。彼は若い頃から画家を志し、17歳でヒューザン会展に出品しました。彼は二科賞を受賞し、渡欧してマティスに師事。戦後、マティスの招聘で芸大を辞して渡仏し、日本初のマティス展を実現させました。
九谷吸坂窯地内に移住した彼は、九谷焼制作を始め、中央画壇から離れました。硲伊之助美術館は30年間、彼の名を広めてきましたが、彼の名前を知る人は減ってきています。
「硲伊之助文集」の出版は、東京の大空襲や亡くなった後の火災によってほとんどの資料が失われましたが、献身的な人々によって資料が集められ、データ化および編集が行われました。848ページにも及ぶこの本には、若い頃の文章は難解ですが、後のものは読みやすいです。彼の文章は古九谷や浮世絵に関する重要な文献となるでしょう。また、小林徳三郎や久保栄についての文章は必読です。彼の人生について語られた「わが半世紀」も興味深いでしょう。
美術品や絵画についての記述は、作品を見ながらでないと理解しづらいかもしれませんが、『硲伊之助文集』を読んで興味を持っていただき、美術館に訪れていただければ幸いです。

判型A5版 上製 箱入 846ページ (口絵カラー8ページ)
定価本体7,000円+税
発行硲伊之助美術館
連絡先硲伊之助美術館
〒922-0822 加賀市吸坂町4-3
0761-72-0872

色のハーモニー -海部公子 色絵磁器陶板画展覧- 開催中

アンリ・マティスとの親交を深めた洋画家、硲伊之助を師と仰ぎ、ともに油彩画から色絵磁器制作に取り組んだ海部公子氏(1939-2022)。彼女は1962年に加賀市吸坂町に「吸坂窯」を築き、師の教えである色彩調和ー”ハーモニー”を生涯にわたり探求しました。その功績の一端として、彼女が足かけ4年間かけて手がけた『小説新潮』(1994年1月-1997年3月)の表紙原画が、このたび当館に寄贈されました。記念として、全36枚の陶板画を実際の表紙と共に展示致します。

彼女のアトリエでの生活を彩る友人、愛犬や猫、そして近隣の自然から採れた新鮮な野菜、果物、魚。これらの要素が彼女の作品に描かれ、日々の暮らしと季節の移ろいが表現されています。一枚一枚の陶板画が奏でる「色のハーモニー」を、ぜひお楽しみください。

開催期間2024年3月8日(金)~3月31日(日)
会場加賀市美術館 第3会議室
観覧料一般:300円
75歳以上:150円
高校生以下:無料
※障がい者手帳をお持ちの方および介助を要する場合は付添人1名まで無料
※会期中は「神にささげられた宝」もご覧いただけます